3/15(土)に天文館図書館交流スペースにてミヒャエル・エンデの『モモ』を課題本にした読書会を開催しました。
参加人数は私も含めて16名で、2グループに分かれて行いました。
小学4年生の子どもさんがお母さんと一緒に参加されて、
これまで開催した読書会の中で最年少の参加者になって嬉しかったです。
私は今回初めて『モモ』を読んだのですが、重いテーマなのと文章もそんなに優しい訳ではないので、これはむしろ大人向けの児童書なのではないか?と思い、子どもさんはどう読んだのだろう?と気になりました。
しかし、ご参加の子どもさんは楽しく読んだとのご感想。
本当に小学4年生?と疑問に思うほど自分が引き込まれた箇所や感情が動いた場面などを絡めながら感想を上手に語っていて素晴らしかったです。
さて、一方で大人の参加者たちはというと、「灰色の男たち」について色々と話し合われ、現代社会を生きる私たち大人はむしろ「灰色の男たち」に近いのではないか?といった問いが出てきました。
この物語に出てくる大人たちや、私たち現実の大人もそうですが、
自分の人生について考えた時に何か無駄な時間ばかり費やしているのではないか?とか、自分は何者にもなれないまま人生を終えてしまうのではないか?とか、この世に何も残さないまま人生を終えてしまうんじゃないかとか、誰しもそうした不安を多少は抱えていて、そうした不安を「灰色の男たち」はツケ狙ってくるんですよね。
その結果、大人たちが仕事に集中するために時間に追われていき、結局「無駄な時間」を減らそうとした時に真っ先に省かれるのが「他者と関わる時間」であり、みんながどんどん孤独になっていく様がとても切なかったです。
そして、「灰色の男たち」はそうした時間を奪って、自分たちの時間として使っている。
この物語における悪党ではありますが、他者の時間を奪うことでした自らの存在を維持できない「灰色の男たち」は、何も残さずに消えていくか弱く可哀想な存在でもあるんですよね…。
資本主義を擬人化したようなキャラクターであると同時に、現代社会に生きる私たちが抱える不安を象徴しているキャラクターでもあるのかなと私は思いました。
読書会の中では、この物語は果たして「めでたしめでたし」なのか?そして、世界は元通りになったのか?という問いも出ました。
物語自体も深いテーマが描かれていて感じ入ることが多かったんですが、読書会を通じていろんな視点からの語りを聞くことで凄く目が開かれた感触を得ました。
大変楽しくて得るものが多い読書会になりました。
ご参加いただいた皆さま本当にありがとうございました!
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