営業予定+今週の1冊

【今週の営業予定】
7/12(月) 12時〜18時営業
7/13(火) 12時〜18時営業
7/14(水) 定休日
7/15(木) 定休日
7/16(金) 12時〜18時営業
7/17(土) 12時〜18時営業
7/18(日) 12時〜16時30分営業 ※所用のため1時間30分早く閉店

【今週の1冊】
『積読こそが完全な読書術である』永田希(イースト・プレス) ※新刊本
家にまだ読んでいない本がたくさんあるのに…とボヤきながら本を購入されるお客さんがたまにいらっしゃる。僕はそういう方に会うと嬉しくなる。
というのも僕自身たくさん積読していて仲間を見つけたような気持ちになるからだ。
買った本に対して読んだ本の数はあまりにも少ない。手元にある本を読み終えてから新しい本を買えばいいものをそれができないのが本好きの習性のようだ。
しかし本好きというものがこう当たり前のように積読行為をしているのを見ると、
積読行為自体が何か一つの営みになっているようにも思えてくる。
そういえば5、6年ほど前から読書会を自分で企画するようになったが、最初に企画した読書会が「積読ナイト」といって積読している本を紹介しあうというものだった。元々は東京のどこかのお店が積読本を紹介し合うイベントをやるというのをツイッターで目にして興味が湧いたのだが遠方なので自分は参加することができない。それなら自分でやってみようと思ったのが自分で企画した発端だった。
積読本を消化するためにその意気込みを語る場というわけではなく、本を読もうと思った動機や読むのを挫折した理由などをもとに積読している本を紹介してもらうという趣旨で自分は企画した。
その人にとって本を読む行為がどのようなものであるのかや、どういった状況の時に読みたい衝動に駆られる(けど読めなかった)のかが窺い知れて面白く、今も1年に1回程度の頻度で企画している。

さて、今回紹介するのはそんな積読にまつわる1冊『積読こそが完全な読書術である』だ。
積読が読書術であるとは一体どういうことか?
ネットも情報が溢れかえっているし、本もまた毎日新しい本が発行されていて、情報過多な現代社会。明らかに一人の人間の許容量を超えている。
しかし、全く情報に触れないわけにもいかないし、その中から自分で情報を選び出さなければならない。
そんな時にどうするのが良いか?
その一つの答えが「積読」だ。
積読によって自分の「ビオトープ(ある場所の小さな生態系)」をつくるべしというのが本書の主張である。
まずはあらゆる情報を「積読」と見做してみる。
それには他律的なものと自律的なものとがある。
ここで言う「ビオトープ」とは自律的なものであり自分で構築するものだ。(自分の本棚と言ってもいいかもしれない)
様々な動機があるとは思うが購入した本は、実際に読めるか否かはともかく、少なくとも自分が関心を抱く何かではある。
そうした自分が関心を抱く対象を増やし一つのまとまりとして構築していくうちに本同士の関係性みたいなものが見える瞬間がある。
それまで点だったものが、点同士を関係性という線で結べるようになった時が、その本を読めるようになる瞬間で、身に覚えのある方も多いと思う。
僕もそのような体験はあるので「積読で自分のビオトープをつくるべし」という主張は腑に落ちるものがあった。
ビオトープ以外にも、様々な「本に関する本」から積読にまつわるトピックを引いて積読の考察がなされているのが面白い。
積読にネガティブなイメージを抱いている方におすすめしたい1冊。

【関連しておすすめしたい本】

・『読んでいない本について堂々と語る方法』ピエール・バイヤール(筑摩書房)
→『積読こそが完全な読書術である』でも度々言及されている本。
「読んでいない本」の定義づけで、いわゆる未読の本だけではなく読んだけど内容を忘れてしまった本も含まれているのが面白い。そして、読書とは読んだそばからその内容を忘れてしまう現象がつきまとうものだから「完全な読書」なるものはないということになる。
では僕たちが行なっている不完全な読書とはどのようなものなのか?
文学小説の中の登場人物たちが「読んでいない本」についてどのように語っているかを分析することによって読書行為自体の考察もなされているのがユニークだ。

・『マルジナリアでつかまえて 書かずば読めぬの巻』山本貴光(本の雑誌社) ※7/12(月)現在新刊本で当店に在庫有り
→「マルジナリア」とは本の余白の書き込みのことだ。
人間の意識とは川の流れのようなもので、本を読んだ時に頭に思い浮かんだあれやこれやは、その瞬間が過ぎ去ったや否や思い出すことが困難になる。マルジナリアとは、本を読んだときに頭の中で起こっていることを、まさにその事象が生じる要因になっている本自体に(書き)残そうとする行為だ。マルジナリアの本を読むとは、そのような思考の痕跡を辿る楽しみがある。
夏目漱石のマルジナリアから始まり、哲学者や翻訳家など様々なマルジナリアを紹介している。
最後にはマルジナリアのやり方まで付されている。マルジナリア入門としても最適な1冊。

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