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【今週の1冊】
『46歳で父になった社会学者』工藤保則(ミシマ社)※新刊本
育児に携わったことがない者が育児の本を紹介するのはおかしいだろうか?
でも僕は他人の育児話を聞くのが好きなのだ。
3才のお子さんがいる友達がいて会うたびに子どもさんのことを話してくれる。
それが友達と会う時の楽しみの一つになっている。
家族が増えたことで今までにはなかった第3者の視線を意識するようになって奥さんと自分の関係性もまた変化したという子どもさんが生まれた直後にした話や、確か絵本の読み聞かせについての話だったと思うが「犬」の絵を見た時の反応が今までは種類が異なっていても全て「わんわん」だったのが最近では種類を判別できるようになってきたなど、印象深く新鮮な話が多い。
子どもさんの(成長)変化の話であると同時に、友達自身のなかでの変化についても語っていて、僕はいつも楽しく聞かせてもらっている。
今回紹介する『46歳で父になった社会学者』もまた育児を通して自分(著者)自身の変化について語ったエッセイ本だ。
例えば冒頭、著者の奥さんが妊娠した時から始まるのだが、奥さんにとって結婚がまず予定外であったし子どもを持つこともまた考えていなかったという。自分は親になれるのだろうかといった戸惑いや責任感でいっぱいの奥さん。一方で自分の「父親」としての実感のなさ。それに対する後ろめたさが綴られる。その後悔から、奥さんの妊娠が分かった時点で父親はそれに追いつくように全力で走り出さなければならないと述べている文章は胸に迫るものがあった。
人もその状況も変化する中で自分はその人とどのように関われるのかを考えること。
それがきちんと人に向き合うことであり社会的な営みでもあるのだと思う。
書名に「社会学者」とあるが、気難しいことが書かれているわけではない。
息子さんのこと、奥さんのこと、一緒にやって楽しかったこと、一緒に暮らす中での自分の変化についてなどが柔らかな文章で綴られている。飾り気のない率直な語りから著者の人柄が伝わってくる本だ。
社会学について触れている箇所がいくつかあって、引用している社会学者の本の一節が興味深かった。僕のざっくりとした解釈になるが、血縁によって最初から家族「である」のではなく、ケアや関わりの実践が積み重ねられることによって、そのときに家族「になる」のだという。
人の変化をつぶさに見て、その都度、自分が行える社会的関係性をつなごうとし続けること。
そこには大変さもあるかもしれないがその喜びもまた大きいことが感じられる、そんな1冊だ。
【関連しておすすめしたい本】
・『パパいや、めろん』海猫沢めろん(講談社) ※7/5現在 新刊本で当店に在庫あり
→「子育てはデスゲームだ」というインパクトのあるキャッチコピーの育児エッセイ本。
育児が始まる前から準備しておくべき「三種の神器」として電動自転車・乾燥機・食器洗い機をあげている。育児というケアは大変な労力でもある(と『46歳で父になった社会学者』を読んで思った)ので便利なものは使うべしと改めて思う次第。
・『母ではなくて、親になる』山崎ナオコーラ(河出書房新社)
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