2022年1月14日(金)付の南日本新聞のコラム「南点」です。2022年6月まで執筆者の一人として2週間に一度「南点」を担当します。ご依頼いただいた時に古書店の仕事についてお伝えできるような文章を書きたいと思いました。ただ最初からそれだとマニアック過ぎる気がしたので、まずは読書全般について書いて、徐々に古書店のことも書いていこうと考えています。
職業柄、私は本好きの方と接する機会が多いですが、世間一般では、古書店も本好きも少数派に属するだろうと思います。まずは読書するとはどういう行為や意味があるのか、また本好きとはどういう人なのか等、私の考えを交えながら書くことで、少しでも知っていただける機会にできたらなと思います。
私は古書店主でもあり本好きの一人でもあるということで、一人称を「僕」にしました。普段、SNS等で店の発言をする時は「私」を使っているので、それとは差別化を図りたい意図もあります。「私」よりも「僕」の方が、自分の考えや立場をより強く意識して書けますし、具体的な事例を出す場合も近い距離感で語れる気がします。
あまり抽象的な話をしても面白くないだろうと思い、一般の方がよく古本屋に訊く質問「ここにある本は全部読んだんですか?」という具体的な事例を挙げることにしました。この質問から始めるのが、古本屋を知ってもらう意味でも、本好きを知ってもらう意味でも、良い事例だと思ったからです。
一般的に、「本」は読まれなければならない物だし、読まれなければ価値がないというイメージが強くあるような気がします。ただそれは、古書店や本好きが本を扱うときの実情とは異なるように私は考えていて、それを払拭したいと思い、今回の題を「誰かが選んだ本」にしました。古本は必ずしも誰かに読まれたとは言えないが、少なくとも一度は「誰かが選んだ本」であるという視点について書きました。こうした視点は、古本の楽しみ方のバリエーションがひとつ増えるのではないか?という私のささやかな提案でもあります。
記事の掲載許可が降りたので、今後も記事を投稿していく予定です。
南日本新聞を購読していない方もこの機会にご笑覧いただけたら幸いです。
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