5周年に際して

5周年に際して

2023年9月21日に当店が入居しているトマルビルが5周年になります。
当店の開店もまたトマルビルと同時に開始しましたので当店も5周年を迎えます。
トマルビルは5年限定のコンセプトで2018年から始まりました。
本来なら5年を迎える9月で居を移さなければならなかったのですが、トマルビルのオーナーのご厚意と応援してくださっている方々のおかげで、さらにもう5年続けられることになりました。
これまでの5年、長いようにも短いようにも感じます。
自分の中で一区切りをつけたいので少しだけこの5年を振り返ってみたいと思います。

古書店を始める前は読書会の活動を行なっていました。
この時から「ブックスパーチ」の名前は使っていました。
「パーチ」は止まり木という意味があり、気軽に集まって本に関するおしゃべりができる場を作りたいと思いを込めています。
当時は読書会の活動をしながら漠然と古書店をやりたいと思ってはいましたが、何の準備もしていませんでした。
そんな折にトマルビルの1階に古書店として入居しないかと縁あってお声がけいただきました。とりあえずビルの下見をという話になって行ったところ、入口に木の枝に止まった鳥のオブジェがあるのが目に入りました。止まり木の屋号を使って活動していたことから強い縁を感じました。
結局、この場所で(ブックスパーチという屋号で)古書店をやりたいと気持ちが先走って、見切り発車で開業を選んでしまった次第です。
開業する際に、本棚を譲ってもらったり、本を譲ってもらったり、買取依頼をしていただいたり、本当にたくさんの方々に助けていただきました。そしてお客様、トマルビルの仲間、同業の諸先輩方、家族に支えられてきたことを実感する5年間でした。
おかげさまで取り扱う本の量も徐々に増えていき、ようやく今、古本屋としてのスタート地点に立てたという気持ちになっています。(5年もかけて本当に恥ずかしい話ですが)

さて、どうにか5年続けてはきましたが、この間に様々な変化がありました。そしてそれは今も現在進行形でもあります。
開業して約1年後に新型コロナの流行が始まり、天文館の人通りも寂しいものになりました。
人だけではなく、天文館の街並みも変わりました。
そして、具体的にどうと言えるわけではなく肌感覚なのですが、人の移動の仕方に質的な変化が生じていると感じています。
加えて物価高の煽りも受け、本はますます積極的に買うものではない傾向が増している現在です。
こうした変化の中で、お客様にどう本を手に取ってもらったり買ってもらうか、そして本屋はどうあるべきか。課題は尽きません。
しかし、このような課題は今に始まったことかというと、別にそうではなく、この5年常に付きまとっていた問題でもあります。
強いていうなら今後は、問題に対して堂々巡りをするのではなく、自分なりに何か一つ突き抜けて取り組みたいという思いを強く抱いています。
この5年の経験を糧にまたこの場所で続けられるように精進したいと思います。
今後もどうぞよろしくお願いします。

古本屋ブックスパーチ

鹿児島市泉町の古ビル「トマルビル」の端にある小さな古本屋です。宜しくお願いします。

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