2022年6月3日付の南日本新聞のコラム「南点」です。
今回は「本の貸し借り」について、子どもの頃に私の周りに本を貸してくれた大人がいなかったら私は本好きにはなっていなかっただろうなと振り返りながら書き進めました。
このコラムを担当者さんに送った時に、担当者さんの親御さんがよく言っていた「本を貸すバカと本を借りるバカ」という言葉を教えてもらいました。個人的にはかなりツボな言葉で、私も今後は積極的に使いたいななどと思っています。
「貸すバカ」というのは「貸したが最後、その本は返ってくると思うな」という意味かなと思い、その推測を担当者さんに言ったところおそらくそうだろうとのお答えでした。
借りる側としてはそこに貸す側からこちらに対して信用と期待があるのを読み取るのが当然であり、その意を尊重する態度を取らないといけないのだとも思います。
コラムでも書きましたが私も高校生くらいからそれなりに能動的に本を読むようになり、友人知人に本を貸す機会が増えました。その経験積みながらふと気がついたのは、相手に本を貸した時点で自分の目的は完遂している感覚があることです。
もちろん貸した本を相手が読んでくれることも嬉しいのですが、でも本を相手が受け取ってくれた事実自体に喜びを感じるのも確かであり、それだけ充分な気持ちになってしまう面もあると思います。
コラムで書いた「仄かな期待」とは、自分が貸そうと思う本を相手が受け取ってくれるかどうかというところにも当てはまるのかもしれませんね。
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