2022年4月22日付の南日本新聞のコラム「南点」です。
今回は「市場」について書きました。
誰かから指摘があったわけではないですが、私の文章だと「金額の低い本には価値がない」という風にも読めるかもなと後から思いましたので、この場をもって補足の説明をします。
古本の金額の相場は基本的には需要と供給のバランスで成り立っています。
希少な本ほど手に入りにくく金額も高くなるので、入手できる機会が訪れれば、古本屋は仕入れをしたくなるものです。
職業柄どうしても希少な本の仕入れの方を重視してしまいますが、一方で、金額の低い本には価値がないかというとそうではないと私は考えます。
金額の低い本は供給性が高いということなので、それほど多くの人に親しまれたわけですし多少の販売のしやすさもまたある。それはそれで、そういう価値を持った本なのだと思います。
金額が低かろうが高かろうがそれぞれの本には独自の価値がある。
時と共に価値は変化するもので、仕入れはしたけれども、果たしてこの本は売れるのだろうか?とジレンマを感じることもあります。
でもそんなジレンマに苛まされながらも、どこかにこの本を欲しいと思う人がいるはずだという感覚を持つこと。
それが「価値への敬意」ではないかと私は思います。
以上、補足でした。
仕事について説明をする機会というのもあまりなく、毎回言語化が不十分だなと感じるばかりですが、「南点」も残すところあと3回。最後まで励みたいと思います。
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