南点④「本の引っ越し」


2022年2月25日(金)付の南日本新聞のコラム「南点」です。
今回の掲載以後に、コラムの題材自体は内輪的なのだけどそれに留まらない内容になっているのではないかというご感想を数人からいただきました。
題材や事例は内輪的なものにならざるを得ないけれど、文章はいろんな方が楽しめる内容にしたいという意識で書いていたので、ご感想をいただいてとても嬉しかったです。

さて、内容に関して少しだけ付け加えます。
本の売買をしている感覚が薄れてきていると書きました。
今回は私の友達とのやりとりを引き合いに出しましたが、このコラムを書きながら同業の大先輩がおっしゃっていた言葉が頭をよぎりました。
「古本屋という職業は貴重な書物を扱う機会もあるが、でもたとえ古本屋であっても(だからこそ)その貴重な書物を手元に置けるのは次の人に手渡すまでの一時的なものであって、自分たち古本屋はその一時的な時間を精一杯に愛でるしかない」と大体このような内容だったと思います。
また、ツイッターで目にした同業の方の投稿でも、「先輩から本は預かり物だと教わった」というものがありました。
今回のコラムは、「本の引越し代」でかすみを食っているのが古本屋ではないかという視点を導入して書きました。本文でも書いたように半分遊びのような発想ですが、あながち間違った感覚ではないのかもしれないと書き終えた後で思った次第です。

南点は6月までということで今回で1/3を消化しました。
書きたいネタはそれなりにありますが、それが連載終了まで保つのかということと、実際に書き始めてみないと書けるかどうか分からないので、まあどうなることやらですね。
少しでも楽しんでもらえる内容になるように今後も励みたいと思います。

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