今週の営業予定+今週の1冊

【今週の営業予定】
11/29(月)12時〜18時営業
11/30(火)12時〜18時営業
12/1(水)定休日
12/2(木)定休日
12/3(金)12時〜18時営業
12/4(土)12時〜18時営業
12/5(日)12時〜18時営業

【今週の1冊】
『現実入門 ほんとにみんなこんなことを?』穂村弘(光文社) ※11/29(月)新刊本で在庫あり。
歌人・穂村弘さんのエッセイ本。
穂村さんの『世界音痴』という本に「人生の経験値」というエッセイが収録されている。
「人生の経験値」とは普通の人なら経験しているだろうと穂村さんが思い浮かべたことをリスト化したもので、穂村さんは自分の「人生の経験値」は他人と比べると非常に少ないとそのエッセイで書いている。
そのことに目をつけた本書の担当編集者が、そのまだ体験していない何かに挑戦してエッセイを書かないか?と穂村さんに企画を持ちかける。その連載がまとめられたのがこの本だ。
初体験における自分の心の機微を描写するのがとても上手いことと、
体験自体に対する分析も知的かつユーモアに溢れた文章で綴られているので、
あるあると頷いたり穂村さんの独特の視点を味わったりと、楽しく読むことができる本だと思う。
初体験への挑戦を積み重ねていくと聞くと経験値が上がっていくイメージを持つかもしれない。
実際、本書の構成もそのような流れになってはいるのだが、最後の章とあとがきを読むと、一つの小説を読んだかのような読後感と同時に、良い意味で狐につままれたような心持ちになる。
それは文庫版の解説で江國香織さんも書いているように、本書は「リアリティ」をめぐって書かれた本だからなのだろうと思う。
「リアリティ」について考察しているわけでも、それについて書いているわけでもないのに、そう感じてしまう不思議さがこの本にはある。
それはエッセイという形式を最後まで貫くことでリアリティと虚構感の両立に成功している点にあるのかもしれない。
本書のサブタイトルにもなっている「ほんとにみんなこんなことを?」という言葉にも現れていると思うが、「現実」が怖いという感覚、この一つの態度を維持してエッセイを書いていることが、リアリティと虚構感の両立に関わっているような気がする。
後半を自分の所感を交えながらグダグダと書いてしまったが、
ともかく面白い本なので広くお勧めしたい1冊だ。

【関連しておすすめしたい本】
・『やってくる』郡司ペギオ幸夫(医学書院) ※11/29(月)新刊本で在庫あり。
・『物語は人生を救うのか』千野帽子(筑摩書房) ※11/29(月)新刊本で在庫あり。

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